健診バイト。いつも気になっているけど、一歩踏み出せない。そんな先生方に、外科系→緩和ケア医である小生の健診バイトの体験記を共有いたします。
この記事を読むと健診バイトの概要、給料、求められる診察能力、知識、技術、健診バイトをして感じられること、得られること等健診バイトの全てがわかります。
このブログを読むとわかること
- 健診バイトの概要
- 給料、時給
- 求められる診察能力、スキル、知識、技術
- 健診バイトをして感じられること、得られること
この記事を読むとためになる人
- 健診バイトをしたことがなくてこれからしてみようという先生
- 外科系のDrで内科系の健診バイトがイメージできない先生
- 子育て中の方で、スポットでのバイトを探されている先生
健診バイトの概要
今回経験した健診バイトの概要を以下に記載いたします。参考にしてみてください。
概要
- 場所;ホテルの一角のクリニックでの健診バイト。高級感ありの健診専門クリニック
- 時給:10000円/1時間 (9時-12~13時や12時-16時なんかが多い。)
- 服装;基本的には接遇を大事にしているため、男性は襟付きのシャツとネクタイ着用。スーツが無難。女性は、ジーンズ、サンダル、Tシャツ等は厳禁。カジュアルすぎる服装は避けること。白衣は用意されているクリニックが多い
- 受診者の年齢層;40代-80代の方が多い
印象
- クリニック全体;患者様はお客様という視点。接遇はかなり重要視されている印象
- クリニックスタッフ;言葉使いは非常に丁寧。笑顔、ホスピタリティを意識されている。事務スタッフが、PC操作説明、仕事の流れを説明してくれた。
業務内容
100-150人を5-6診体制なので、一日平均20人当たりの問診、説明。
問診・診察(一人当たり平均5分―10分程度)
- 問診 問診表に沿って問診していきます。健康な方はあまり本人も気にしていないので、チェック項目がない場合は、特に深くは聞きません。クリニックでの患者満足度を上げるという意味では、こちらから一方的に聞くのではなく、「何か最近の体調できになることはありますか?」といった質問から、患者さんの気になっていることに焦点を当てて、語ってもらい、それを共感、傾聴することも大事な要素かと思います。
- 診察業務 基本的に眼:視診、頸部;視診と触診、頸部リンパ節や甲状腺について診察を行います。胸部&背部:視診、聴診、腹部:視診、触診、打診、聴診 下肢の視診、触診 その他気になるところの診察となります。整形外科的な項目は、健診項目には含まれないですが、肩こりや背部痛が気になるといった方もいますので、「健診項目に入っていないから」と突っぱねるのではなくまずは話をしっかり聞いてあげて、アドバイス可能であれば適切なアドバイスをしてあげるのが、「親身に聞いてもらえた」という患者満足度のアップにつながると思われます。
- 健診結果説明業務(一人当たり10分程度) 多くの方が健康な方なので、精査が必要になる方は一握りとのことでした。患者様を、待たせることなく、流れるように健診を進める意味でも、色々なシステムも整備されており、結果説明に関しても、検査が終了した時点で患者様に検査結果が記載されたファイルが手渡されており、それに基づいて説明を行っていきます。精査が必要、治療が必要な方は、結果説明一覧表を見ると一瞬で分かるような仕組みになっています。なので健診の各項目(採血、尿検査、レントゲン、心電図、診察、バリウム、胃カメラ、MRI等)に関して、自分で診断をつける必要がありません!(←ここ凄く大事。)
私もそうでしたが、多くの方が初めて健診業務に携わる際に、自分で診断を全部付けないといけないと思っている先生もおられるのではないでしょうか?となると、総合内科の専門医レベルの知識、スキルを必要とされることになってしまいますので、(もちろんそれレベルであることに、こしたことはないのですが)そこは心配しなくていいと思います。
心電図、エコー、内視鏡、バリウム造影に関しては、専門Drから、説明も別室であるため、その分野の専門性は求められませんでした。中には、逆流性食道炎の方もいて、胃カメラの部分で、質問があったりもしましたが、基本的な知識に関しては、伝えるのは構いませんが、必要以上に受診者の方の不安をあおることにもなるため、専門的な結果説明に関しては、再度時間をとって専門医から説明してもらったほうが、双方のためになると思います。
治療、精査が必要な方は、診療情報提供書を作成し、それを持って然るべき提携病院に受診してもらう流れになります。
診療情報提供書に関しては、健診パックに含まれていることが多く、拒否される方はほとんどいませんが、中には拒否される方もいて、後日診療情報提供書を作成するとなると、数千円かかってしまうため、それで問題になることもあるようです。例えば、循環器系の問題、糖尿病の問題となった際は、診療情報提供書が2枚必要とのことで、一枚2000円だとすると2000円×2枚=4000円ものお金がかかってしまうため、その辺も診療情報提供書を拒否された方には、しっかり説明した上で、選択してもらうのも必要かと思いました。
必要なスキル・大事なスキル
- 基本的な視診、聴診、触診等の診察スキル
- 患者さんの話を傾聴するコミュニケーションスキル(反復等を用いて共感を示すスキル)
最期に感想
これまで国家試験や、各種専門医試験を通り抜けてきたみなさんにとっては、健診業務はそこまで必要な知識は必要なく、むしろ各クリニックのPCの操作や、流れを覚えるのに、戸惑うかもしれません。ただ丁寧に事務スタッフの方も教えてくれるので問題なく業務もできると思います。
健診バイトを通して、健康な一般市民の方がどういったことを気にしているのかを知ることができます。糖尿病、高血圧、高脂血症、メタボリックシンドロームのような生活習慣病は多くの方が気になっていながらも、実際に何かできている方というのは一握りだったようにも感じます。
コロナの影響で、通勤が減って、運動不足になったり、逆に自宅で飲酒量が増えたような方は、確実に体重増加、コレステロール値の上昇がありました。やはり健康維持のためには、適度な運動、食事が大事なんだなぁと改めて痛感しました。
今回説明した方も、自身の健診結果を知ることで、健康を見つめなおすきっかけになればという想いで説明をしました。
しかし中には、検診が終わったらホテルでランチを楽しみにしているというマダム達が一緒に健診を受けたりしていて、少し泣きたくなりましたが、、、
モチベーションとしては、次から次と流れ作業のように業務をしていくので、これまでの病院勤務時のような「この患者を治すんだ!」といった熱いモチベーションはないかもしれません。ただ、自分の対応一つで、健診に対する信頼性を損なうことを考えると(ちゃんと診てくれなかったのに、大丈夫か?等)、しっかり目の前の患者さんと向き合って、患者さんが何を気にしているのか、なんで受診するにいたったのか等、患者さんの話をしっかり聞いてあげることで患者満足度もあげていくことも必要ですし、医師の言葉には力が宿ることが多いので、自分のアドバイス、結果説明から多くの方の「健康」を支えるんだという気持ちでいることはモチベーションを支えることにつながると思います。
たまたまかもしれませんが、多くの方が退室される際は、しっかり「ありがとうございました。」や「失礼します」と挨拶をしてくれて、患者さんたちの質も担保されているような印象がありました。
就業時間が近づいても、どんどん問診患者も入ってくるので、一瞬、初めてで多くをさばけなかったから残業か!?と頭をよぎりましたが、それは杞憂に終わりました。
残業もなくて、就業時間きっかりにスタッフの方が「時間になりましたので、今日の業務は終了です。お疲れ様でした。ありがとうございました。」と送り出してくださいました。
以上が、健診バイトの概要になります。
スポットで募集しているクリニックもあり、不安な部分もあると思いますが、一度経験してみれば、なんとかやっていけるなという自身もつくことでしょう。中には、心電図読影、レントゲン読影も求められることもあるので、業務依頼内容はしっかり確認して、申し込むようにするといいと思います。
定期的に入るというのもよし、空いた隙間時間に小遣い稼ぎ程度にされている先生もいるようです。また時間的には午前中のみという事も多いので、子育て中の方の小遣い稼ぎにもうってつけかもしれません。私も、初めての業務で自分ができるか心配でしたが、何とか乗り切ることができました。興味がある方は、まずは「やってみる」。それが一番大事です。
皆さんも色々な医療を経験してみてはどうでしょうか?