緩和ケア医りんご先生のプロフィール
はじめまして。
わたしは、緩和ケア医りんご先生といいます。
大阪府在住。アラフォー、2児の親。
現在はフリーランス緩和ケア医として、活動しています。
在宅医療での開業を見据えてフリーランス医師になりました。
ただ、将来どういった形で開業するかを模索するために、緩和医療の他にワクチン接種や、健診、訪問診療、美容系バイト、当直バイト等様々な医療に従事するだけでなく、病院見学やクリニック見学を空いた時間にしながら種々の経験を積んでいます。
- 医師
- 日本緩和ケア学会認定医
- 緩和ケアの基本教育に関する指導者研修会修了
- 笑い療法士2級
- もしバナマイスター取得
- 日本外科学会専門医
このブログを読んで欲しい人
このブログは以下のような人に読んで欲しいと思っています。
- 緩和ケアの事を知りたい方
- 医師、看護師、介護士、社会福祉士等全ての医療にかかわる方
- がんにかかって、この先どうなるか不安な方
- 健康な方
- 人生を思う存分楽しみたい方
- 子育て中の方
- 将来在宅医療を志している方
- 将来開業しようと考えている医師 他
なぜブログを始めたか?
「痛み苦しみなく、穏やかに最後まで過ごしたい。」
多くの方が、緩和ケア外来を受診した際や緩和ケア病棟に入院した際におっしゃられます。
そう希望しているにも関わらず、巷での噂や、緩和ケアに対する偏見、誤情報に騙され、穏やかな最後の時間を過ごす機会を失っていることを私は日々痛感しています。
中には
「知人が緩和ケア病棟に入ったらすぐに亡くなってしまった。」
といった話が独り歩きして、緩和ケア病棟に入りたくないという人もいるくらいです。
皆が「最後は穏やかに痛み苦しむことなく過ごしたい」と希望しながらも、緩和ケアに対する間違った情報や、偏見に踊らされて、本来穏やかに過ごせるはずの最期の貴重な一日であったり、貴重な時間を無駄にしてしまっているのでは?とも感じてしまう時すらあります。(十分な説明を受けずに来て、貴重な一日と認識できていない方も実際に多くいますが、、、)
実際緩和ケア病棟に来て多くの患者さんや、その家族が
「もう少し早く来ていればよかった」
と漏らすことも多々あります。しんどくなった時期はそれなりに、自分で何かをする力も低下し、ケアを受けて体を楽にして過ごすことの楽さや大切さを多くの方が身をもって教えてくれます。
だからといって私は緩和ケアが全てだとは思っていません。
緩和ケア病棟に入りたくない、自分はまだ早いのではという葛藤は、「死にたくない」「長生きしたい」「もう少し治療を頑張りたい」という生への渇望そのものなのだから。
人はこれまでの人生においてどんな困難な問題にぶち当たろうとも、全問正解をしてきたという方はいないと思います。迷い、恐れ、不安を感じ、その中でも悩みながら決断・選択を繰り返してきて今があります。
「もう少し早く来ていれば良かった」
そこに至る過程の悩み、葛藤、迷いは当然のことで決して否定されるものでもありません。
私が緩和ケア医として、たくさんの患者さんの最期に立ち会わせていただき、感じたこと、経験したこと。
それをこのブログを通して、みなさんに知っていただいたり感じていただいたりしながら、
「よりよく生きること」を共に考えていって欲しい。
その思いでブログを始めることにしました。
ブログを通して伝えたいこと
このブログの中で発信する事には、時には「死」といった辛い話もあるかもしれません。
ただ私は、「死ぬ」ことを考えることは、決して悪いことではないと日々感じています。それは何故かというと、、、
いつか必ず人間は死ぬのだから
それは決して諦めでもなく、達観でもなく、私にもいつか必ず起こることだし、今このブログを読んでいただいているあなたにもいつか起こること。
死ぬことも人生をトータルで考えた時に、人生の中で避けては通れない、そして最後に必ず起きる大きなイベントの一つなのです。
人生の大きなイベントといえば、大学進学、就職、結婚、出産、マイカー購入、マイホーム購入、退職etc様々なことがありますね。そういったイベントの前、たくさん悩んで、考えて、準備をして決断を下してきたのではないでしょうか?
その準備の中で、自分の思い通りになったもの、残念ながら諦めなければいけなかったことはたくさんあって、人それぞれ違うと思います。
あきらめたこと、うまくいかなかったことなんかは、仕方なかったと思える人もいればずっと後悔して引きずっている方もいます。
一方で、皆さんは「死ぬこと」「最後を迎えること」に関して、皆さんは何かイメージしたり、考えたり、準備したことはあるでしょうか?
イメージできることといったら、TV等でも事故、天災、著名人の訃報はよく報道され、いきなりの訃報に皆「死」に対して、あまりいいイメージを持てない方が多いと思います。逆に穏やかな最後を迎えられた方の報道はあまりないのではないでしょうか。
絶対準備しないといけない!ということでは決してありません。
それでも、「死」については、皆必ず体験することでもありながら、核家族化の日本の現状も後押しして、「死」に関して触れる機会が少なくなっています。その情報が少なすぎて、あまりにもイメージできない現状にあると日々感じています。
そして日本特有の「縁起でもない!」という風潮も後押しして、間違った情報やイメージ、偏見がより緩和ケアを遠ざけているように感じます。
いきなり近づいてきたら怖くて私も恐れおののくでしょう。
しかし私が緩和ケア病棟で見送った方の中には、穏やかに旅立たれた方もいました。そしてそれを見守る家族も穏やかな気持ちで見送っていました。
多くの方の最期に立ち会い、人が死ぬっていうことは辛く悲しいことではあるけれど、たとえどんなにがんが進行していても、患者さん本人、家族にとって穏やかな「死」があることを私は知りました。
「みんなに良くしてもらって私は幸せ」
そういって最後の日々を過ごした方もおられます。
そしてそれのみならず、残された家族にとって、大事な方の「死」が「喪失」だけでなく、新たな生きるエネルギーになり、支えになりうることも教えていただきました。
私が緩和ケア医として、この世の中に対して何ができるかを考えた時に、まずは緩和ケアがどんなものなのかをみなさんに知ってもらうこと、伝えることで、みなさんが「よりよく生きること」を考えるきっかけになればと思います。
死を想うことは、よりよく生きることを考えること。Byメメントモリ※1
※1 メメントモリはラテン語で「自分が(いつか)必ずに死ぬことを忘れるな」「死を忘ることなかれ」という意味。
私自身もこのブログの発信を通して、色々なことに気づき、学びながら日々成長していこうと思っています。どうかよろしくお願いいたします。